導入事例

災害初動対応を変える点群活用 - 精度を高め、誰でも使えるScanX運用へ

株式会社興和 調査部 技師長 堀松様
  • 建設業
  • 点群クラス分類
  • 災害対応

  • 事業分野:建設業
  • 地域:新潟県新潟市
  • 使用工種:災害の初動対応、緊急点検
  • 使用機材:
     - UAV:Mavic 3 RTK
     - RTK受信機:ichimill
株式会社興和は、新潟県を拠点に、防災・減災分野を中心に地質調査・解析、環境エネルギー、インフラ管理など幅広い事業を展開されている企業です。創業は、地下水・温泉・ガスなどの地下資源の開発に取り組む専門業者としてスタートし、地質調査、斜面対策工事、インフラ点検へと事業を拡大してこられました。今回は、調査部にて技師長として部内のDX推進を担う堀松様に、ScanX導入の背景・活用方法・導入後の変化についてお話を伺いました。

点群活用の始まりとScanX導入の背景

興和様が点群データの活用を始めたのは、2014年にドローン(当時はラジコンヘリと呼ばれていた)を導入されたことが出発点でした。
「私が技術開発室に異動になって、ちょうどドローンが出てきて、2014年に購入したんです。防災科学技術研究所の方が『点群データを使ってこんなことをやってますよ』という講習会をやると言っていたので聞きに行ったのが、点群データを活用しようとするきっかけになりました。」

点群データの活用を進める中で、WingEarthやTREND-POINTなど、点群処理ソフトを使用されていましたが、手持ちのPCで作業ができる点、自動でフィルタリングがされる点にメリットを感じ、導入いただきました。
「ScanXのいいところは、普通のPCでも使えること、そしてデータをアップロードするとフィルタリングして出てくるところです。デモを見せてもらったときに『これは楽そうだ』というのが若いスタッフ全員の意見で、それで導入を決めました。」

ScanXの使い方:地表面のフィルタリングとDTM生成に活用

株式会社興和様では他のソフトと組み合わせながら、以下のフローでScanXを活用されています。
「UAVでデータ取得を行ったら、『Metashapeで点群生成 ⇒ ScanXで地表面フィルタリングとDTM(地形モデル)生成 ⇒ QGISで等高線作成 ⇒ CADソフトで設計図などを作成』という流れでScanXを活用しています。」
興和様の点群データ作成フロー(興和様のマニュアルより抜粋)

主な活用シーン①:災害初動で“崩れた後の基図”を作る

株式会社興和様では災害が起こった際の初動対応で基図の作成にScanXを活用されています。
「一番使う頻度が高いのが、災害発生直後の基図(地形図)を作ることです。発生後の基図があると、どれだけの土砂が流出したかの推定量も計算できます。この推定移動土塊量などは事業採択の時の資料に使うことが可能ですし、対策の方向性の検討や調査計画を立てるのも格段に楽になります。」
ScanXを使った地表面抽出とDTM作成の様子(興和様のマニュアルより抜粋)

主な活用シーン②:調査計画(アクセス・安全・運搬計画)

株式会社興和様ではアクセスの困難な現場の現地の状況把握にもScanXを活用されています。
「険しい現場で調査業務をする場合、ドローンをとりあえず飛ばして、どのように現場にアクセスするかとか、安全対策をどうするかの絵を書くのに活用しています。広範囲の斜面対策が必要な面積をざっくり知りたいとか、機材などを入れるルートをどうするかなど現地調査前の安全対策の検討や調査計画立案に使っています。」

点群活用の価値:スピードより“精度の底上げ”

精度の高い初動地形図を持つことで、後工程への影響は大きく変わります。点群を活用するまでは、現地を歩きながら災害発生前の地形図に書き込んでいました。ただし、精度面では課題もあり、点群を活用したことによって手戻りなどが解消されました。
「以前は、調査計画でボーリングの深さを設定したのに、実際に測量してみたら全然届かない深さだったということがありました。そういうことがなくなりましたし、対策事業費の算出精度も上がりました。

「令和3年にやった地すべり災害対応では、点群データから生成した地形図を使って応急対策工の配置計画検討を行いました。当初出した数量と大きな差異もなく、施工者側から『こんなところで対策工の施工はできない』という話も出ませんでした。ドローン測量のデータを実際の災害対応にまで実用化しているケースは当時の上越地区にはほとんど無く、画期的な取り組みとして関係者から大いに注目を集めました。

「現場によっては、事業費や調査計画において2〜3割、場合によっては4〜5割もの差が出ることもあります。精度の高い初動地形図があることで、後工程の信頼性が大きく変わります。

ScanXのメリット:“人とPCが取られない”/図面作成に時間をかけたくない

ScanX導入後、次のメリットを実感されています。
「アップロードして、点群処理している間もクラウド処理なので、使っているパソコンも人の手もフリーになるため、同時に別の仕事もできるのは大きなメリットです。」

災害の初動対応は実際の対応策の作成が一番大切な部分です。図面を作るというところにあまり大きな長い時間というか労力を使いたくないなかで、簡単にフィルタリングで地表面の抽出ができるのは使い勝手がいいと思います。」

「誰でも使えるツール」の展開:部内DX推進の核へ

堀松様が取り組む部内DX推進において、ScanXは「ハードルの低さ」という点で重要な役割を担っています。部内では「DXをやりたいが実際にやっている人が2割しかいない」という課題があり、その原因として「環境の壁・知識の壁・機会の壁」の3つが挙げられていました。ここを解消するという観点からもScanXを評価いただいています。
「新しい技術ができると、『あなたが担当です』みたいな専任者ができてしまって、その人が辞めると誰もわからなくなる、というのがどこの会社でもあると思います。業務の一プロセスでしかないのであれば、WordやExcelのように、誰でも使えるべきなんですよね。ScanXはそれができるツールだと思っています。」

「部内でアンケートを取ったら、DX的なことをやりたい人が8割いるのに、実際にやっている人が2割しかいないんです。環境の壁、知識の壁、機会の壁の3つが原因で。ScanXは使っているソフトの中でも一番敷居が低くて入りやすいツールだと感じています。」

興和様の独自作成マニュアルの表紙

今後のScanXへの期待と展望

ScanXの改善に対する今後の期待の声をいただきました。
「ScanXで等高線を出力するとき、標高のラベル(何メートルの線か)を付けたくてQGISを使っており、ScanXの中でそれができれば、QGISを使う理由がなくなります。DXFやDWG形式でラベル付きの等高線が出力できると非常に助かります。

「最初の設定の座標系入力でつまづいて『難しい』ってなってしまう人がいます。点群データから座標系を自動で推定するなど、ここで初めての人でもつまづくことがないような機能を作っていただけると助かります。」

「ゆくゆくは、『このデータから地表面を抽出してこの形式でダウンロードしたい』と入力するだけで、AIが処理してくれるようなインターフェースになると、我々のようなユーザーにはとても使いやすいと思います。」

ScanX導入を検討している方へのメッセージ

興和様から、ScanXの導入を検討されている企業様へのメッセージをいただきました。
業界では新しい技術を使うことが当たり前になってきていますが、コストや属人化の問題で、なかなか活用が進まないことが多いと思います。ScanXは、そういった課題の中で導入の敷居が低く、誰でも使えるツールだと思います。また、データをアップロードして処理をしている間にも、他の仕事ができるという生産性の高さの観点からも、図面を作ることが本業ではなく、その先の仕事を重要視するような我々のような企業にこそ、一度使ってみてほしいツールです。」

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