導入事例

「夜に点群を上げて帰れば、翌朝には出来上がっている」。ScanXを起点に内業3割減を実現した点群ワークフロー

新和設計株式会社 空間情報事業本部 第一事業部 測量課 課長 齋藤 恵太様
  • 建設コンサルタント
  • 点群クラス分類
  • 点群共有
  • 樹木解析

業種:総合建設コンサルタント(測量・地質調査・設計を一貫、1968年創立)
● 導入製品:ScanX(AI自動クラス分類/点群共有・ビューワー/樹木解析オプション)
● 地域:山形県米沢市
● 従業員規模:約80名(グループ合計)
● 使用工種:公共測量、3次元計測、GIS業務
● 使用機材:UAVレーザー(CHCNAV製 AlphaAir 10)、グリーンレーザー(アミューズワンセルフ TDOT 3 GREEN)、地上レーザー(Leica RTC360)、SLAM(Emesent Hovermap)

新和設計株式会社は、測量から地質調査、設計までを一貫して手がける山形県米沢市の総合建設コンサルタントです。
令和2年にScanXを導入し、点群の自動クラス分類を起点に、樹木解析、発注者へのデータ共有へと活用の幅を広げてきました。
今回は、空間情報事業本部の齋藤様に、ScanX導入の背景と導入後の変化についてお話を伺いました。

i-Constructionを機に始まった点群活用——「計測は進むのに、処理が追いつかない」

新和設計株式会社の主な発注者は国土交通省や県・市町村。官公庁業務を中心に、地元企業として地域のインフラを支えています。齋藤様が所属する空間情報事業部は、測量を軸に、インフラや工事着手時の3次元計測、GIS業務までを担う部署です。平成28年に国土交通省がi-Constructionを打ち出したことを機に、同社はドローンと地上レーザーを導入し、点群活用に踏み出しました。

一方、東北の現場には季節の制約があります。UAVレーザーは植生に弱く、案件は葉が落ちて雪が降る前の10月・11月と、雪解け後の春先に集中します。多いときは一気に10件ほどが重なる状況を、当時わずか3人で回していました。さらに、点群処理ソフトは当時1ライセンスのみ。フィルタリング(地表面の抽出)に最も時間を取られ、処理待ちがボトルネックになっていました。

「計測は進むんだけれども、処理の方が手詰まりになってきました」

ScanX導入のきっかけ:「何かいいツールはないか」

転機は令和2年でした。国土交通省の積算基準等の改定で三次元点群処理の歩掛が整備され(※「令和2年度国土交通省土木工事・業務の積算基準等の改定」令和2年2月発表。掲載時の文言は要確認)、業務の中でも点群処理が正式に発注される流れに変わりました。「何かいいツールはないか」とWebで探して見つけたのがScanXです。

試しに使ってみると、アップロードするだけで自動でクラス分類され、最も時間を取られていたフィルタリングの負担が大きく下がることを実感。以来、点群処理の起点として使い続けています。

主な活用シーン①:点群処理の起点として——「夜に上げて帰れば、翌朝には出来上がっている」

新和設計様では、3次元計測から設計データ作成までを、ScanXと各種ツールを連携させた以下のフローで進めています。ScanXは自動クラス分類とフィルタリングを担う「起点」のツールとして位置づけられ、後工程の図化・設計データ作成へとデータをつないでいます。

1. 現場で3次元計測 — UAVレーザー・グリーンレーザー・地上レーザー・SLAMを案件に応じて使い分け
2. 点群生成 — 基線解析・軌跡解析を経て点群データを作成
3. ScanXで自動クラス分類 — 夜にアップロードして退社。翌朝には分類済みデータが完成
4. TREND-POINTで点群の手直し — 分類誤りを手作業で微修正
5. WingEarthで図化 — 点群から二次元図面を作成
6. AutoCADで設計データ作成 — 設計サイドのBIM/CIM活用

「点群を生成してScanXに上げて、家に帰る。翌日の朝にはもう出来上がっている、という感じです」
自動でやれるところはScanXに任せ、仕上げは使い慣れた環境で——というシンプルな役割分担です。処理を待つ間、人もPCも空きます。処理速度についても「満足」とのこと。

「何が一番いいかというと、レイヤー分けです。ちゃんと名称がついて分類されているので、手動で分類するときもそれに合わせて振り分けられる。一からやろうと思うと、とてもじゃないけど大変でできない。フィルタリング機能のあるソフトはありますが、分類まで正確にしてくれるソフトはあまりないので、これは素晴らしいなと思って使っています」

多少の分類誤りは「手で直せばいいだけ」。1ライセンス時代の手詰まりは解消され、現在は5人ほどの体制で処理を回しています。

主な活用シーン②:樹木解析で、用地取得前の「概算本数」を付加価値に

もう一つの活用が樹木解析オプションです。きっかけは、発注者からの問い合わせでした。 「用地を取得するにあたって『樹木が何本あるのか、概算を知りたい』というお客様からの問い合わせがあって、使い始めました。解析した結果をお見せして、『概算になります』と説明した上で報告しています」
興味深いのは、この要望自体がScanX導入前にはなかったことです。 「(以前は)なかったです。点群が普及して、いろんな事例がウェブで見られるようになって、『樹木の本数まで数えられる』と、お客様の側がある程度認識を持ってきた。他のソフトではなかなかできなかったので、タイミングよくScanXでリリースがあって、オプションの契約をしました」 今では、森林が絡む案件での定番の使い方になっています。 「事業で『ここの用地が必要だ』となったとき、用地業務はいずれ後続で発注されます。それより先に『概算の樹木の本数はこのぐらいありますよ』と、付加価値として出しているような感じですね」

主な活用シーン③:点群データの共有——「見せたいけど、見せられない」の解消

3つ目が、Webビューワーによる発注者へのデータ共有です。背景には、点群データならではの悩みがありました。
「見せたいけど、見せられない、みたいな。データを送るのにすごく手間がかかったり、相手が受け取れなかったり。最近は点群の密度が高くて容量がパンパンという環境になってきているので、データ交換には非常に困っていました」
ScanXなら、URLを送るだけでブラウザ上でそのまま点群を見てもらえます。 「ほかのソフトのビューワーで見せる方法もあるんですけど、データ交換が非常に難しい。ウェブを介して見せられるっていうのがすごく便利だなと思っています」
過去データをScanX上に残しておく、ストレージ的な使い方も始まっています。今後はIFC(設計データ)の取り込みや写真データの添付といった機能も活用しながら、発注者との共有の幅をさらに広げていく考えです。

「内業は3割以上削減されている」——ScanX導入の効果

導入効果を尋ねると、「感覚になっちゃいますけど、3割以上は削減されているんじゃないですかね」との答えでした。削減の中心は、最も時間を費やしていたフィルタリング作業。個人差はあるものの、基本は「ちょっと手直しする程度で済む」ようになりました。

効果は社内の効率化にとどまりません。オリジナルデータの納品では、以前はフィルタリング前後のレイヤーしかありませんでしたが、今は建物や構造物が分類済みです。分類済みレイヤーが、そのまま納品データの付加価値になっています。

「『構造物だけ見たい』というときに、レイヤーのオン・オフだけで表現できる。お客さんは使いやすいと言ってくれています」

今後のScanXへの期待——「やっぱりScanXは違うぞ」を見せてほしい

使い込んできた齋藤様からは、次への期待として具体的な要望をいただきました。

● 分類レイヤーのさらなる細分化 — 特にブロック塀や橋梁の分類ができれば、さらに便利になりそうとのこと
● 樹木解析の進化 — 「樹木分類で樹種まで出れば最強だなと思います」
● 点群からの自動図化 — 現在は別ソフトで行っている図化(二次元化)まで自動でできれば、大きな工数削減につながるとの期待
● 3DGS(3D Gaussian Splatting) — 発注者への共有の観点で期待される機能

河川堤防の水際部や平屋の屋根など、自動分類が苦手な条件もまだ残っています。それでも、期待を込めてこう語ります。

「似たようなソフトが最近よく出てきている。その中でも『やっぱりScanXは違うぞ』というところを、いろんな機能で見せていってほしいです」

ScanX導入を検討している方へのメッセージ

齋藤様は、点群処理に関する講習会の講師も務めています。

「AIを使って測量の生産性を向上させるツールの中では、一番優れていると思っているので、個人的にもPRしています」

点群処理では、内業の負担がどうしても課題になります。

「そこを効率的に進めていくには、こういうツールを使っていく必要があると思っています。騙されたと思って、使ってみてほしいですね」

点群処理の効率化なら
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