
点群データの処理にAIを取り入れることで、ノイズ除去やクラス分類、3Dモデルの生成を効率的に進められるようになりました。
近年ではAIを搭載した点群処理ソフトが普及し、専門知識がなくても手軽に利用できる環境が整いつつあります。
一方で、
「AIを使った点群処理の具体的な方法や流れがわからない」
「点群処理ソフトを導入するにはどうすればよいのか知りたい」
といった不安を感じる方も少なくありません。
そこで本記事では、点群データの基礎から3Dモデル化までのプロセス、AIによる自動処理機能や活用事例、メリットとデメリットを詳しく解説します。
AIによる点群データの活用方法が理解でき、業務の効率化やコスト削減を検討する方にとって役立つ内容になっています。ぜひ参考にしてください。
目次
点群データとは

点群データとは、3次元空間に存在する物体や地形を無数の点の座標で表現したデジタル情報のことです。
各点にはX・Y・Zの座標による位置情報が記録され、さらにR・G・Bの色情報や属性データが付与される場合もあります。
膨大な点の集合によって、対象物の形状や大きさ、位置を高精度に再現できるため、ミリ単位の測量にも対応可能です。
従来の2次元の図面とは異なり、立体的に情報を記録できるという特長があり、土木・建設分野をはじめ、自動運転やインフラ管理など幅広い分野で活用が進んでいます。
点群データの取得方法
点群データを取得する機材はいくつかありますが、主な方法は「レーザースキャナー」と「フォトグラメトリ」の2つです。
点群データの取得方法
- レーザースキャナー
- フォトグラメトリ
レーザースキャナー
レーザースキャナーは、対象物にレーザー光を照射し、反射して戻るまでの時間の計測により距離を算出する計測方法です。
この技術はLiDAR(Light Detection and Ranging)とも呼ばれ、高精度な点群データを取得できる代表的な方法として知られています。
レーザー光の反射時間を元に座標を1点ずつ記録し、それらを積み重ね合わせることで対象物の立体形状を詳細に再現できます。
レーザースキャナーの機材には、用途に応じて以下のような種類があります。
| 種類 | 特長 |
|---|---|
| 地上設置型3Dレーザースキャナー | 三脚に設置して、建物や地形を精密に3D計測できる |
| 航空レーザー測量 | ドローンや航空機に搭載し、広範囲の情報を効率的に取得できる |
| 車載型移動計測システム(MMS) | 走行中に道路や周辺環境を自動的にスキャンできる |
| ハンディ3Dレーザースキャナー | 手持ち型で、狭い空間や小規模な対象物を手軽に計測できる |
| 水中レーザー | 水中環境のデータを取得できる |
フォトグラメトリ
フォトグラメトリは、写真を解析して対象物を3Dで再現する手法です。複数の角度から撮影した画像を組み合わせて点群データを生成します。
写真はデジタルカメラやスマートフォンでも撮影できますが、ドローンを活用すれば上空から広範囲を効率的に計測できます。
フォトグラメトリは写真を元に合成するため、リアルな外観や質感を再現できるのが大きな特長です。
自動車や建築物といった大型構造物の寸法計測から、史跡や美術品のデジタルアーカイブまで、幅広い分野で利用されています。
また、カメラを用いるため導入コストを比較的抑えられる点もメリットのひとつです。
一方で、レーザースキャナーに比べると精度は劣るため、細部まで正確に計測する必要がある場合はあまり適していません。
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点群データを3Dモデル化するまでの流れ
点群データは、取得した直後の状態ではただの膨大な点の集まりにすぎません。
3Dモデルとして活用するには、ノイズ除去や解析などいくつかの処理工程を経る必要があります。
点群データを3Dモデル化するまでの流れ
- 位置合わせ・ノイズの除去
- 解析・クラス分類
- 3Dモデル化
1.位置合わせ・ノイズ除去
点群データを3Dモデルに変換する最初の工程は、位置合わせとノイズ除去です。
複数の角度や異なる機材で取得した点群データをそのまま扱うと、重複や座標のずれが生じ、正確な3Dモデルを構築できません。
まずは位置合わせ(アライメント)を行い、異なる地点で取得した点群データを重ね合わせて座標を補正します。
続いて、ノイズ除去(フィルタリング)を行います。
点群には通行人や雨粒、反射などによる不要な点が含まれることがあり、これを残すと3Dモデルの精度が低下してしまうのです。
そのため、不要なノイズを削除し、位置を正確に整えることが解析やモデリングの精度を高めるための最初のステップとなります。
2.解析・クラス分類

位置合わせやノイズ除去を終えた点群データは、解析とクラス分類の工程に進みます。
解析とは、対象物を抽出して距離・面積・体積を数値化し、データを活用できる形に整える作業です。
クラス分類では、地表面・建物・樹木・自動車といったように各点が何を表しているのかを識別し、ラベル付けを行います。
たとえば、建物の調査では構造物のみを抽出するために、周囲の樹木や車両、人などの不要な点を除去する必要があります。
さらに必要に応じて、膨大なデータ量を軽減するためのサンプリング処理を行い、欠損部分がある場合は補完機能で空白を埋めてより正確なモデルへ仕上げることも可能です。
解析とクラス分類を行うことで、点群データは実用的な情報へと変換されていきます。
3.3Dモデル化
解析とクラス分類を終えた点群データは、最後に3Dモデル化の工程へ進みます。
膨大な点の集合を立体的に表現できるように再構築し、必要に応じてメッシュデータやCADモデルなどの形式に変換します。
メッシュデータとは、点群の各点を頂点として辺と面で結んだ形状データのことです。
ポリゴンデータとも呼ばれ、単なる点の集まりが面をもつ立体構造へ変換されることで、対象物の姿がより直感的に把握できるようになります。
完成したデータは、用途に応じてさまざまなファイル形式で出力が可能です。
建築設計のプランニングやシミュレーションなど、あらゆる場面で活用できます。
AIで進化する点群処理ソフトの機能
点群処理ソフトとは、測量などで取得した膨大な点群データを解析して活用できる形にするためのソフトウェアです。
従来、人が時間をかけて編集や分類を行う必要がありましたが、近年はAIの導入によって処理効率と精度が大きく向上しています。

自動ノイズ除去機能
点群データには、計測中に人や車が写り込んだ点や、草木・雨粒による不要な点など、多くのノイズが含まれます。
従来は、人が目視でノイズを確認しながら手作業で削除していたため、膨大な時間と労力がかかっていました。
現在では、AIを活用したノイズ除去機能によって、ノイズを自動的に検出・除去できるようになっています。
さらに、点群同士の位置合わせ(レジストレーション)も自動化が進んでおり、点群処理ソフトによってはワンクリックで統合処理が可能です。
自動クラス分類機能
自動クラス分類機能は、点群データを対象物ごとに自動で振り分ける機能です。
データを処理ソフトに取り込むと、AIが点の特長を解析し、地表面・建物・樹木・草地といったカテゴリーに自動的に分類してくれます。
従来はこれらを手作業で仕分ける必要がありましたが、AIが自動分類を行うことで、整理済みのデータをすぐに活用できるようになりました。
その結果、作業効率が向上し、解析やモデリングなどの次の工程にスムーズな移行ができるようになったのです。
3Dモデルの自動生成機能
点群処理ソフトを使用すれば、取得した点群データを元に自動でメッシュを生成し、3Dモデルを生成できます。
メッシュ生成そのものは従来から自動化されていましたが、AIの導入によって前段階であるノイズ除去やクラス分類の精度が大きく向上しました。
その結果、点群データの品質が高まり、完成する3Dモデル全体の精度や滑らかさも向上しています。
AIの活用は、3Dモデル生成の工程を根本から進化させ、より効率的で高精度なワークフローの実現を後押ししてくれるのです。
点群処理ソフトの種類や選び方について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
高精度な点群処理を効率的に進めたい方には、クラウド型ソフトの「ScanX」がおすすめです。AIが処理を自動化してくれるため、専門的な知識がなくても安心して利用できます。
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AIで注目される点群データ活用のメリット
点群データの活用には、以下のようなメリットがあります。
AIで注目される点群データ活用のメリット
- 業務を効率化できる
- 危険な場所の測量を安全に行える
- 図面なしで3Dモデルを作成できる
業務を効率化できる
点群データを活用すれば、多くの時間や人手を必要としていた作業を効率化でき、コスト削減にもつながります。
特にAIによる自動処理機能を組み合わせれば、設計や施工、検査といった各プロセスをスムーズに連携することが可能です。
こうしたAIの自動化技術は、土木・建設分野にとどまらず、森林管理などの自然環境分野にも広がりを見せています。
たとえば、点群処理ソフト「ScanX」を活用した森林調査では、従来は10人日以上かかっていた20ヘクタール規模の調査が、ドローンとの組み合わせによってわずか1人日で完了しました。
結果として、工数は10分の1以下に削減され、必要な人員も大幅に減ったのです。
詳細は「大澤木材株式会社の点群データ活用事例」で紹介しています。
点群データの導入に加えてAIを活用すれば、作業時間の短縮や人件費・現場滞在コストの削減にもつながるでしょう。
危険な場所の測量を安全に行える
点群データは、遠隔から計測できるため、人が直接立ち入るのが難しい場所でも安全に測量できます。
従来の測量では作業員が現地に赴き、危険を伴いながら手作業で計測する必要がありました。
しかし、レーザースキャナーやドローンを活用すれば、安全な場所から高精度なデータを取得可能です。
また、狭い空間や地下施設のように人が進入できない場所でも、小型ドローンやロボットを使うことで効率的に計測できます。
安全性を確保しながら正確なデータを収集できる点群データは、建設やインフラ分野に加え、災害現場などでも活用が進んでいます。
図面なしで3Dモデルを作成できる
点群データを活用すれば、従来必要だった設計図がなくても3Dモデルを作成できます。
改修工事の際も、現場で取得した点群データから建物の状態を正確に再現できるため、設計や施工計画にかかる工数の削減が可能です。
さらに、点群から建造物の寸法や形状を抽出し、平面図などの2D図面へ変換もできます。
現場で取得したデータをさまざまな形式に展開できるため、用途に応じた柔軟な活用が実現します。
点群データを使用することで、図面が手元になくても点群データを使えば現状を正確に把握でき、効率的かつスムーズに設計や施工を進められるのです。
AIで広がる点群データの活用事例
点群データは、AI技術や専用ソフトの進化により、以下のように幅広い分野で実用化が進んでいます。
AIで広がる点群データの活用事例
- 建設における測量と施工管理
- インフラの整備と保全
- 自動運転の環境認識
- 森林資源の管理と保全
- 災害時の被害状況の把握
建設における測量と施工管理
建設業界では、点群データの活用により、従来の手作業による測量よりも短時間かつ高精度に現場の状況を把握できるようになりました。
近年はAI技術の導入によって、点群データの活用範囲がさらに広がっています。
たとえば、AIを用いることで点群データを解析し、壁や柱などを自動で識別・分類が可能です。
さらに、BIM対応の3Dデータに変換する技術も進化しており、壁の厚みや高さを自動推定してモデリングできるようになっています。
点群データとBIMを組み合わせれば、設計から施工管理までのプロセスを効率化することができます。
インフラの整備と保全
点群データは、インフラの整備や維持管理に幅広く活用されています。
橋やトンネルの点検は、技術者が構造物を間近で目視して、ひび割れを測定するのが一般的でした。
しかし、近年は点群データを活用した新しい点検方法が普及しています。
ドローンや地上型LiDARで構造物全体をスキャンすることで、高精度な3Dデータを記録でき、現場の状況の正確な可視化が可能です。
さらにAIを導入した解析により、ひび割れや変形などの異常箇所を自動で検出し、3D空間上で位置や大きさも把握できます。
AIと点群技術を組み合わせれば、安全性を確保しながら点検作業の効率と精度を向上させられます。
自動運転の環境認識
自動運転技術では、周囲の環境を正確に把握することが欠かせません。
点群を基盤とした高精度な環境認識は、障害物の検知や位置を推定するにあたり、重要な役割を果たしているのです。
自動運転車に搭載されたLiDARは周囲を3Dマッピングし、AIによる解析と組み合わせて歩行者や他の車両をリアルタイムに認識します。
昼夜や悪天候といった条件下でも安定して障害物を検知できるため、安全で信頼性の高い走行を実現できるのです。
点群データの活用は、車両が自らの位置を正確に把握し、進路を判断するためにも欠かせない要素となっています。
森林資源の管理と保全
森林資源の分野でも、点群データを活用した森林管理が注目を集めています。
従来の人力による測量と比べて、より効率的かつ高精度に森林の現状を把握できるようになりました。
ドローンやLiDARで取得した点群データからは、樹木の高さや幹の直径、樹冠の広がりといった情報を自動で抽出できます。
また、AI解析を組み合わせることで個々の樹木を識別し、樹種の分類や収穫の予想も可能です。
成熟した木だけを伐採しながら森林再生を促進するなど、持続可能な森林管理を実現するための計画づくりにも役立っています。
災害時の被害状況の把握
災害発生後に被害状況を把握するためにも、点群データが活用されています。
現場を立体的に再現できるので、人が立ち入れない場所も含めて広範囲の調査を効率化でき、迅速で正確な被害評価につながります。
点群データを活用すれば、遠隔から地形や構造物の状態を把握でき、危険な現場作業を減らすことが可能なのです。
さらに、土砂災害や洪水の際は、発災前後のデータを比較することで崩落範囲や土砂量を推定し、救助活動や復旧計画にも役立てられます。
近年では、AIがドローン映像を自動解析して3Dモデルを元に人命救助をしたり、斜面崩壊の危険箇所を予測したりする技術も開発されています。
このように、点群データの活用シーンは年々広がっており、今後もさらなる拡大が見込まれるでしょう。
点群データをより効率的に活用するには、スピーディーな処理と関係者間での円滑なデータ共有が重要といえます。
その両方を実現できるのが、クラウド型点群処理ソフト「ScanX」です。
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点群データ活用のデメリット
AIの導入によって点群データの処理は格段に効率化しましたが、実務で活用する際には依然として避けられない課題もあります。
点群データ活用のデメリット
- 導入や運用にコストがかかる
- データ容量が大きく扱いが難しい
導入や運用にコストがかかる
点群データを活用するには、3Dレーザースキャナーや専用ソフト、高性能なパソコンなどの設備が必要となり、初期費用が高くなる傾向にあります。
特にオンプレミス型の点群処理ソフトは価格帯が高く、50万円前後から、本格的なものでは100万円を超えるケースもあります。
また、点群の可視化や解析を快適に行うためには高スペックなパソコンが必要です。
一般的な業務用のパソコンでも30〜40万円程度、本格的な処理を行う場合は50万円以上のワークステーションが必要になるケースも少なくありません。
導入時の費用負担が大きいことは、点群データの活用を検討する際に課題となっています。
データ容量が大きく扱いが難しい
点群データは、数百万から数億の点で構成され、ファイルサイズが数百メガバイトから数十ギガバイト以上になるのも珍しくありません。
その結果、保存・処理・共有の負担が大きくなり、作業環境への負荷が増えます。
特に大規模なデータでは、ストレージを圧迫したり、共有やインポートに時間がかかったりするほか、操作が重くなるといった問題も生じます。
また、点群データをそのまま扱えるソフトは限られており、多くの場合はCADやBIMなどで利用するために形式変換が必要です。
この変換処理にも時間とシステム負荷がかかるため、作業効率を下げる要因となっています。
ここで紹介したように、点群データを効率的に扱うには、高スペックなパソコンや容量の確保が欠かせません。詳細を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
AIを活用した点群データ処理についてよくある質問
最後に、AIを活用した点群データ処理についてよくある質問を紹介します。
Q.PointNetとは何ですか?
PointNetは、点群データをそのまま入力して解析できる深層学習モデルです。従来は点群をメッシュやボクセルに変換してから解析しなければならないという課題がありました。
PointNetは変換を行わずに座標を直接入力し、データの識別や分類をすることが可能です。建物や車、道路などを自動で識別し、部分ごとに分類する用途で活用されています。
ただし、近い点同士の関係を十分に捉えにくいという弱点があり、それを改善した高精度モデルPointNet++も利用されています。
Q.クラウド型の点群処理ソフトは従来と何が違いますか?
従来の点群処理ソフトは、パソコンにライセンスをインストールして使うオンプレミス型が主流でした。
高額な導入費用に加え、高性能なPCや大容量ストレージが必要で、データ共有や共同作業にも多くの手間がかかるという課題がありました。
一方、クラウド型ソフトはインターネット環境とブラウザがあれば、アップロードから編集・共有までをすべてオンライン上で行えます。
高性能パソコンを用意する必要がなく、タブレット端末やスマホからでも利用可能です。さらに、複数人での同時作業や、遠隔地とのデータ共有もスムーズに行えます。
オンプレミス型に比べて導入コストも低く、初期投資や保守費用を抑えられる点も魅力です。クラウド型ソフトの登場により、点群処理はより身近で効率的な業務ツールへと進化しています。
点群処理をAIで効率化し、生産性を向上させよう
点群データは、建設・インフラ・自動運転・農業・防災など幅広い分野で欠かせない技術となっています。
また、AIを活用した処理の進化によって、ノイズ除去や自動クラス分類といった工程が簡単になり、効率的で精度の高いデータ活用が可能になりました。
クラウド型のソフトを利用すれば、従来の高額ライセンスや高スペックなパソコンがなくても、誰でも簡単に点群処理を行える時代が到来しています。
その代表例が「ScanX」です。AIによる自動分類やノイズ除去などの機能をクラウド上で完結でき、現場とオフィスをつなぐ効率的なワークフローを実現します。
ScanXでは、操作感を実際に確認できる「無料デモ」に加え、自社の点群データを取り込み処理を試せる「お試し処理」も利用できます。
この機会に、AIによる点群処理の手軽さと精度をぜひ体感してください。
