
点群データの間引きとは、不要な点を削除してデータ容量を調整し、処理負荷を抑えるための工程です。
間引きを実施すれば、データ容量を適切に抑えながら、点群データの表示や編集、解析作業を効率よく進められます。
しかし、
「どのような方法で点群データを間引きできるのかわからない」
「間引きによって点群データの精度が落ちないか不安」
と感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、点群データを間引きする5つの方法や、間引きを成功させるポイントをわかりやすく解説します。点群データの間引きを円滑に進めたい方は、ぜひ参考にしてください。

【監修者】宮谷 聡
ローカスブルー株式会社 代表取締役社長
Airbus社にてエンジニアとして勤務したのち、シリコンバレーのAirware社、イスラエルのAirobotics社で製品開発や技術営業、海外拠点立ち上げを担当。2019年にスキャン・エックス株式会社(現 ローカスブルー株式会社)を創業し、建設業界向けの点群処理ソフト「ScanX」を提供。
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ScanXは、点群データの編集や間引き処理をブラウザ上で行えるクラウド型点群処理ソフトです。
点群データの軽量化や前処理に役立つ機能を備えており、間引き作業の効率化にも活用できます。例えば、、以下の機能を利用可能です。
- 地表面や植生、建物の再分類
- 点密度の調整
- AIによる自動クラス分類
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目次
点群データの間引きとは
点群データの間引きは、不要または過剰な点を減らし、データ量を適切に調整する処理です。単にデータを削除するのではなく、データ量を最適化することを目的としています。
点群データは数万〜数千万以上の点で構成されることも多く、表示・編集・解析の処理負荷が大きくなりやすいという課題があります。
間引きを実施すれば、必要な地形や構造物の形状を保ちながらデータの軽量化が可能です。さらに、表示速度の向上や処理性能の改善にもつながります。
点群データの間引きと混同しやすいのが、ノイズ除去です。ノイズ除去とは、測量対象ではない不要な点や計測誤差によって発生した点を取り除く工程を指します。
ノイズ除去の処理工程については、以下の記事で詳しく解説しています。
点群データの間引きが必要な理由
点群データの間引きは、データを効率よく扱うために欠かせない処理です。
点群データの間引きが必要となる主な理由は、以下の4つがあります。
【点群データの間引きが必要な理由】
- データ容量が大きすぎると処理が重くなる
- 必要以上に細かい点が業務効率を下げる
- ソフトやクラウド環境の制約を受けやすい
- 解析結果への影響を制御するため
データ容量が大きすぎると処理が重くなる
点群データは、数万〜数千万以上の点で構成されることが多く、データ容量が大きくなりやすいという特徴があります。間引きを行わずにそのまま扱うと、パソコンに大きな負荷がかかります。
例えば、一般的なオフィス用パソコンで大量の点群データを読み込むと、画面操作が極端に重くなったり、ソフトがフリーズしたりするケースも珍しくありません。
また、点群処理を行う際には、高性能なCPUや大容量メモリ、GPUを搭載したパソコンが必要になる場合もあります。
間引きによってデータ容量を抑えることで、処理負荷を軽減し、点群データを扱いやすくすることができます。
必要以上に細かい点が業務効率を下げる
点群データは高精度であるほどよいとは限らず、過剰な点密度が必ずしも必要とは限りません。
必要以上に細かい点が残っていると、画面操作が重くなったり、編集や確認に時間がかかったりするなど、業務効率の低下につながります。
また、点群データの表示や断面確認、不要点のチェックといった作業でも処理負荷が高くなり、作業時間が長くなる傾向があります。
間引きを行えば、必要な形状や特徴を保ちながら点数を適切に調整でき、作業効率の向上につなげられます。
特に広範囲の地形データや大規模構造物の点群データを扱う場合、適切な間引きによってデータの扱いやすさが大きく変わるでしょう。
ソフトやクラウド環境の制約を受けやすい
点群データはソフトやクラウド環境の制約を受けやすいため、間引きによってデータ容量を適切に調整する必要があります。
点群処理ソフトやクラウド型の共有環境では、ファイルサイズや点数に上限が設定されていることが一般的です。
また、点群データではLASやE57といったファイル形式が多く使用されており、表示や処理を行う際には点群ビューアやCADソフトを利用する必要があります。
間引きを実施せずに高密度な点群データを扱うと、データ容量が大きくなり、共有や受け渡しに多くの時間がかかることがあるため注意が必要です。
解析結果への影響を制御するため
点群データは、地形解析や断面抽出、体積計算といった解析目的で利用できるのも特徴です。しかし、過度に高密度なデータは処理時間の増大につながりかねません。
一方で、間引きを過剰に実施すると、地形の微妙な凹凸やエッジ形状が正しく再現できなくなる場合があります。
そのため、間引きは解析の処理効率と精度のバランスを取るために重要な工程といえるでしょう。条件や設定によって解析結果に誤差が生じる可能性があるため、慎重な調整が求められます。
点群データの間引きは、単なる容量削減ではなく、解析品質にも影響する工程として理解しておく必要があります。

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点群データの主な間引き方法5つ
点群データの間引きにはさまざまな方法があり、用途や目的によって適した方法が異なります。
主な間引き方法は、以下の5つです。
【点群データの主な間引き方法5つ】
- 一定間隔で間引く方法
- ボクセルグリッドフィルタ
- ランダムサンプリング
- FPS
- IDISS
一定間隔で間引く方法
3次元の座標情報(X, Y, Z)に一定の間隔を設定し、その範囲内にある点を削減する方法です。点群密度を均一に保ちながら、データ量を削減できるのが特徴です。
この方法のメリットは、間隔の設定を調整することで、点群データの密度を段階的に下げられる点です。ファイルサイズや表示速度を確認しながら、目的に応じたデータ容量に調整できます。
また、点群データ全体の点数を一定の規則で減らせるため、データ量を管理しやすい利点もあります。
ボクセルグリッドフィルタ
ボクセルグリッドフィルタとは、一定サイズのグリッドを作成し、各グリッド内から代表となる点のみを残す方法です。
点群データの空間を小さな立方体(ボクセル)に分割し、各ボクセル内の点を1点に集約することで点数を減らします。
点群密度を均一に保ちやすく、地形や構造物の形状を比較的維持しやすいのがメリットです。ボクセルサイズを調整すれば、点群データの密度とファイルサイズのバランスを柔軟に調整できます。
用途や求める精度に応じて、適切なボクセルサイズを設定しましょう。
ランダムサンプリング
ランダムサンプリングとは、点群データ全体からランダムに点を抽出し、データ量を削減する方法です。膨大なデータの一部を抽出することで、処理負荷を抑えながら点群を扱えるようになります。
すべての点をそのまま処理する場合と比べて、作業量や処理時間を大幅に削減できる点がメリットです。
一方で、ランダムサンプリングで抽出したデータはあくまで全体の一部であるため、解析結果に誤差が生じる可能性があります。
また、人為的な偏りが入ると適切な無作為抽出ができず、分析結果の信頼性が低下する可能性があるため注意が必要です。
FPS
FPS(Farthest Point Sampling)とは、最初にランダムで1点を選択し、すでに選択された点から最も遠い点を順番に選択する方法です。
点を空間全体へ均等に分布させやすく、クラスタリングやメッシュ生成といった処理に適しています。均一な点配置を実現しやすく、形状の特徴を保ちやすい点がメリットです。
一方で、距離計算を繰り返し行う必要があるため、計算コストが高くなる傾向があります。
IDISS
IDISS(Inverse Density Importance Sub-Sampling)とは、点群密度の高い領域では点を少なく、密度の低い領域では点を多く残すようにサンプリングする方法です。
点群密度をもとに間引きの優先度を決定し、データ全体のバランスを調整します。点群密度が低い領域から多くの点を残せるため、物体の形状や特徴を比較的維持しやすい点がメリットです。
点群データの間引きでよくある失敗例
点群データを間引き設定を誤ると、次の工程で大きな手戻りにつながる可能性があります。例えば、以下のような失敗がよく見られます。
- 点を減らしすぎて、法面や段差の形状が正しく再現できなくなる
- 用途を考えずに一律で間引きし、成果物として利用できないデータになる
- 元データを残さず上書きしてしまい、再調整や再処理ができなくなる
こうしたミスは、点群データの精度低下や作業のやり直しにつながる可能性があります。
点群データの間引きを行う際は、目的や用途を整理したうえで、適切な設定のもと作業を進めることが大切です。
点群データの間引きを成功させるポイント
点群データの間引きを成功させるには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。特に、目的の整理やデータ管理、解析工程との関係を意識することが重要です。
以下では、点群データの間引きを成功させるための主なポイントを紹介します。

目的を明確にしてから間引く
点群データの間引きは、単にデータを軽量化するための作業ではありません。用途によって必要な点群密度は異なります。
例えば、土木分野では、工事内容や用途によって満たすべき点群密度が定められています。目的を定めずに一律で点群データを間引きすると、次の工程で精度不足につながる可能性があるため注意が必要です。
間引きを実施する前に、どの用途で使用するデータなのかを整理しておくことが重要です。
間引きの際は、ファイルサイズや表示速度を確認しながら、支障なく扱える範囲までデータ量を調整するとよいでしょう。
不要点を先に整理する
ノイズを含んだまま点群データを間引くと、必要な点まで削除してしまう可能性があります。間引きを実施する前に、まず不要点を整理しておきましょう。
例えば、地表点と非地表点を分類してから間引きを実施することで、形状の再現性を保ちながらデータ量を削減できます。
また、植生や車両などの一時的な対象物を事前に除去しておけば、より適切に間引きを実施できるでしょう。
一般的には、先にノイズ除去を行い、そのあとに間引きを実施するのが基本的な流れです。点群処理ソフトを活用すれば、不要点の除去を効率的に進められます。
なかでもクラウド型点群処理ソフトのScanXは、独自アルゴリズムを搭載したAIが自動で解析を行い、クラス分類を実行できるのが強みです。
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元データは必ず保存しておく
間引き処理は、一度実行すると元の点密度に戻せない場合があるため注意が必要です。
点群データを管理する際は、元データを必ず保存しておきましょう。用途別に複数のバージョンを保持しておけば、解析工程や編集作業でデータの再調整や再処理が必要になった場合でもすぐに対応できます。
例えば、高密度版や軽量版といった形で用途ごとにデータを分けて管理するのがおすすめです。必要なデータをすぐに見つけられるようになり、作業効率の向上につながります。
また、最新ファイルを判別できるように「old」のフォルダを作成し、不要になった旧版を移しておくのもよいでしょう。
過度な削除を避けて段階的に調整する
点群データの間引きは、一度に大幅な削減するのではなく、段階的に確認しながら進めるのが基本です。
例えば、一定間隔のグリッドを設定してサンプリングを行えば、点群密度を均一に保ちながらデータ量を削減できます。
また、すべての領域を一律で間引くのではなく、対象物の特徴に応じて間引き量を調整する方法も有効です。設備の細かな箇所を高い密度で残しておき、広く平坦な地面部分を大きく間引くといった方法があります。
間引き条件を設定する際は、点群データの可視化や断面確認を行いながら、適切な値を調整して行くことが重要です。
最終用途に近い形で検証を行い、精度に問題がないか確認しましょう。
解析工程との関係を意識する
点群データの間引きは、解析結果に大きな影響を及ぼす可能性があります。解析工程と密接に関わっているため、間引きを実施する際は単にデータを軽量化するだけでなく、軽量化と精度のバランスを取ることが重要です。
間引き条件を設定する際には、まず点群データの密度を把握し、どの程度の点群密度が適切かを判断したうえで条件を決めましょう。
点群密度を考慮せずに間引きすると、地形や構造物の形状を十分に再現できず、解析精度の低下につながります。
点群データの密度を調整する方法を詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
点群データの間引きを効率化するなら、点群処理ソフトScanXがおすすめ
点群データの間引きを効率よく進めるには、前処理を適切に行うことが重要です。しかし、不要点の整理やクラス分類、点密度の調整といった作業を手作業で行う場合、点群データの規模によっては多くの時間と手間がかかります。
クラウド型点群処理ソフトのScanXには、こうした間引きの前工程で役立つ機能が多く搭載されています。
ここでは、間引き前の処理を効率化できる機能とメリットを紹介します。
【ScanXを間引き前の処理で利用するメリット】
- 地表面や植生・建物の再分類で必要な情報を明確にできる
- 点密度の変更でデータ量を最適化できる
- AI自動クラス分類で前処理を効率化できる
地表面や植生・建物の再分類で必要な情報を明確にできる

ScanXでは、アップロード時に分類された地表面データを、設定を調整しながら再分類できます。これにより、精度の高い地表面データを抽出できるのがメリットです。
解析や測量に必要なデータだけを整理した状態で扱えるため、不要な要素を事前に分離できます。その結果、間引き処理の精度向上にもつながるでしょう。
また、ScanXでは地表面を抽出したあとに、樹木や建物といった要素を再度分類できます。

樹木は高さ別(低・中・高)に分類されるため、どの要素を残し、どの要素を間引くべきかを明確に判断しやすくなります。
このように要素ごとに分類して整理することで、点群データの前処理を効率よく進められます。
点密度の変更でデータ量を最適化できる

ScanXの点密度変更機能では、点群データに含まれる重複点をフィルタリングし、点密度をスムーズに調整できます。フィルタリングは、点の間隔や周辺範囲を基準として削減条件を設定できます。
主に設定できる条件は、以下の2つです。
- X, Y, Zの距離
- 各セルの周囲に設定した半径
これらの条件を設定することで、点群データの密度を用途に応じて柔軟に調整できます。
データ容量を抑えつつ、必要な形状情報を維持できる点がメリットです。点密度を事前に調整しておくことで、間引き処理を実施する際の精度や作業効率の向上にもつながります。
AI自動クラス分類で前処理を効率化できる

ScanXに点群データをアップロードすると、独自アルゴリズムを用いたAIが自動でクラス分類を実施します。
主に分類される要素は、以下の5種類です。
- 地表面
- 樹木
- 建物
- 構造物
- ノイズ
対象物ごとに分類された点群データを確認できるため、必要なデータと不要なデータを把握しやすくなります。どの部分を残し、どの部分を間引くべきか判断しやすくなる点がメリットです。
AI自動クラス分類を活用すれば、これまで手作業で行っていた分類作業や不要点の確認作業も効率化できます。
ScanXの機能を実際に体験したい方は、ぜひ無料デモ・お試し処理をご利用ください。
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点群データの間引きは前処理の最適化から始まる
点群データの間引きは、データ容量や処理負荷を抑えながら、必要な形状情報を維持するために重要な工程です。適切に間引きを行うことで、点群データを扱いやすくし、解析や測量作業の効率を高められます。
一方で、前処理を実施しないまま間引きを実施すると、必要な点まで削減してしまい、形状の再現性や解析精度に影響を及ぼす可能性があります。そのため、不要点の整理やクラス分類、点密度の調整といった前処理を適切に行うことが求められます。
点群データの活用が広がるなか、間引きや前処理を含めた点群処理の品質は、解析結果や業務効率に大きく影響します。用途に応じて適切に点群データを整理し、効率的なデータ活用を進めていきましょう。

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